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虹色の精霊に導かれて…

第10章 羽と尾と鼻と目と耳

松本視点

誰もいない…廊下に出た。

物凄く、寂しくなる


立ち止ってしまうと身動きが取れなくなりそうで、


急いで、自分の部屋に走る。



足元を照らす電気だけ付けて、部屋の中に入って行く。




「はぁー」

ため息をつきながら、ベッドに座る。


(智さんも…翔くんも…雅紀も…和も…

 もっと

 素直になればいいのに…)


「一番素直じゃない『俺』に言われたくないか?」


独り言が一人の部屋に消えていく。


ボフッとベッドに仰向けに倒れる。

天井の電気がユラユラ滲む。


(素直に、
 ずっと…四六時中、見える範囲…

 存在を感じれる範囲に四人に居てほしい『僕』がいる

 俺いくつになったんだよ…

 小学生か?)

自問自答で笑ってしまう。

(ずっと感じていた寂しさ…

 ビデオに翔くんを見つけた時のように

 もう、直球で行動ができなくなった…

 大人になったんだな…

 まわりの反応が…怖い…)


「俺のこの『気持ち』は、どこに向けたらいいんだ…」


{ボスのお心次第です}

いきなり俺の顔をペロッと嘗める動物が表れる。


「や、やめろよ」

表れた動物の顔を押し退ける俺

「『もも』勝手に出てくんなよ…」
ふたたび、ベッドに座る形になって、動物の方に体を向ける。

この動物は俺の“もも”
始めは豆芝くらいの小さい犬だったのに…
今じゃ、あり得ない位デカイ“狼”に成長した。

{もうすぐ、お使者が来ます}
“もも”がお座りをして俺を見ている。

「そうか…なら、ベッドに入らないとな」
ベッドの布団の中に潜り込む。


{ボス お休みなさいませ}
 鼻がカーペットまで着くほど首部を下げる“もも”。

「ああ、後で一緒に遊ぼうな♪」

{潤さま 今宵はぜひ、皆様とお楽しみください…}

「今宵の宴は俺はみんなと楽しみたい♪勿論お前も、雅紀の猿ともな」

{さようですか…では、ぼーる持っていっていいですか?}

「いいよ♪なんなら、お菓子も持っていこうよぉ…」
布団の中で、明日の遠足を楽しみにしている小学生な会話をしている。

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