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甘く、苦く

第55章 にのあい【俺だけのDisco Star】






翌朝、起きても隣に
ニノの姿はなくて。


「ニノ…?」


寂しくなって、
ニノの名前を呼んだ。

だけど、シーンとしたままの
寝室。



「ニノぉ、」


悲しくなってきて、
涙が溢れそうになる。

それを堪えるために、
下唇を強く噛み締めた。


「ニノっ、」


寝室から勢いよく飛び出て、
リビングに足早に向かう。

そうしたら、エプロン姿の
ニノがいた。


黄色のストライプのエプロン。

…いつか、雑誌に載ったヤツ。


おかしいくらい、似合ってる。



「もう、なによ。
俺の顔見た途端に泣いたりして。

怖い夢でも見たの?」



なんて、俺の頭を撫でながら
言ってくれる。

それが嬉しくて、
また、涙が出てきた。


「いやっ、なんか、もうっ…
ニノがいないと、俺っ…!
だめ、なんだよぉ…」


ところどころ、
掠れていて自分でも
よくわからない。


そんな俺の顔をみて
溜め息をつくニノ。

…呆れちゃった?



こんな俺、嫌い?



「…もう、貴方って人は…
嫌いになるわけないよ。

ごめんな。雅紀。
今度からは起こしに行くから。
泣かないでよ。」



今度は、抱き締められた。

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