テキストサイズ

甘く、苦く

第46章 磁石【move on now】session1

二宮side



…俺は櫻井さんが好きだった。



ずっと、どうしたら会えるか
考えていた。



…俺の初恋は櫻井さんだから。



「…一緒に暮らしたい…」



櫻井さんはポカンっとした顔で
俺を見つめていた。



わかってる。わかってるよ。



…駄目かもしれないけど、
一か八かで。



「な、なんてね?嘘だから――「本当に?」



櫻井さんの大きな瞳が
俺を見ている。



あぁ、そんな顔しないで。



また好きになっちゃうでしょ?



いつから櫻井さんが好きだったのかな。



まーくんのお陰で
櫻井さんに出逢えたんだ。



「二宮、一緒に暮らす?」



櫻井さんの大きな瞳に
俺の顔が写る。



それは、本気にしていいの?



ねぇ、櫻井さん、
俺の事、好きですか…?



届くことのない
想いを並べて。



櫻井さんを困らせて。



「一緒に、暮らしったい…っ」

「泣くなよ笑」



櫻井さんの大きな手が
俺の顔を包み込んだ。



温かくて、安心できる。



俺が求めていたのはコレ。



本物の温かさ。



「…んじゃ、俺ん家とお前ん家、
どっちで暮らす?」



…え?



展開早くない?



俺がポカンっとしてたら
櫻井さんがぽそっと呟いた。



「拒否権無しだからな。
俺ん家で暮らせ。二宮。」

「…はいっ」



俺、二宮和也の恋は
また、始まった。



……でも、俺は売春やってて。



…こんな俺、櫻井さんは嫌い?



明日は大野さん家に
行かないと。



ずっと待たせてたから、
割引くらいしようかな。



「二宮、ボーっとしてんな」

「…櫻井さん、ありがとう」



俺が櫻井さんに微笑んだら、
櫻井さんは「おーよ」って
頭をくしゃっと撫でた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ