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甘く、苦く

第45章 にのあい【現在進行形】




一瞬、戸惑った。


「に、にの?
ご、ごめん…」

「違っ…」



俺が謝ったら
もっと涙が出てきて。



「うぇぇ…おじさぁーん…。」

「うぉっ」



俺に抱きついてきた。

しっかり腰に手を回して。



「俺ぇ…諦めらんないよぉぉ…」

「あぁ…」



頭を撫でても、
にのの涙は勢いを増すばかりで。


「…叶わないのかなぁ…」

「そんなことないよ。
…相葉くんだって気付くよ。」


…そう。


相葉くんは勘違いしてる。

相葉くんが好きなのは
翔ちゃんなんかじゃない。

にのなんじゃないかって。



「でもぉ…あーばさんはっ…
しょぉちゃんのことが好きなんだよ?」

「…そんなことないよ」



俺は泣いているにのの
頭を撫でることしか
できなかった。


…なんて無力なんだろうか。



にのが苦しんでるのに
俺はなにもしてやれないんだ。



「…大野さん…」

「ん?」


泣き止んだにのは
俺を真っ直ぐ見つめて
こう言ったんだ。



「抱いて…」



って小さな声で
小さくなって。

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