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DAYS

第37章 secret OANM×S




家に帰って、翔の顔を見た時。

今までに感じたことのないような
怒りというか、言い知れぬ
何かが沸き上がった。


頬には泣いた痕もないのに、
そんな声を出して来るんだ。

翔の行動の何もかもが嘘に見えて、
あれだけ嬉しかった玄関でのやり取りって
シチュエーションさえ嫌いになる。


何か言いたそうな顔をしてる翔を
残して、入ったばかりの家を飛び出した。

携帯のアドレスを開いて、
掛ける先は松潤。


『もしもし?』
「あ、松潤?今からそっちに行くけど、
何かいるものとかある?」
『ちょっと待ってよ。聞いてみる。』


雅紀って優しく呼ぶ声が聞こえた。

その声だけで、松潤がどれだけ
相葉ちゃんのことを大切にしてるか分かった。

きっと何よりも愛おしいって顔で、
優しく見つめてるんだ…。


俺もそんな風に、本気で翔の事を思ってた。
何よりも大事に思ってた。

愛おしいって。
ずっと一緒に居たいって。


なのに何で…。


俺の事を好きじゃなかったってどういう事?


『…さん、大野さん、聞こえてる?』
「あ、うん。どうだって?」
『アイスが食べたいんだって。』
「分かった。じゃあ買ってくね。」
『うん。待ってるからね。』

待ってるね。


その言葉が頭の中で再生された。

…翔の声が思い起こされた。

俺が帰るよって電話すると、
待ってるねって嬉しそうな声で言う
翔の声が聞こえてくる。



「…好き、なんだよなぁ。」


どれだけ惨めだって、
偽物の愛だだったとしても。

翔の事を、本当に嫌いにはなれないんだ。


翔の好きな人が、例え松潤であったって。

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