
DAYS
第32章 オールリクエストshort story♡
車内は終始無言。
だけど、嫌な訳じゃない。
むしろ楽しいくらいだ。
だって、隣の潤を見てみれば
挙動不審になってて、ずっともじもじ
してるんだから。
時々俺を見て、ばっと顔を赤くして、
ふいっと窓に視線を移して…。
そんなことを何回もしてるもんだから、
思わずぷっと笑ってしまった。
「あ、今翔くん笑った?」
「へ?あー、ごめんごめん。」
赤信号に捕まって、潤のほうを見てみると
ぷうっと顔を膨らませて、拗ねてる様子。
可愛すぎんだろ、コイツは。
たぶん、分かってないんだと思う。
自分がどれほど可愛いのか。
天然の小悪魔ってヤツ。
どこか擽ったくなるような、
甘い雰囲気のドライブも、俺の
マンションに着けば終わる。
早まる足を何とか抑えて、
玄関までたどり着く。
「入って。」
「お邪魔しまーす…。」
控えめで小さくなる姿も
また可愛くて…。
ドアが閉まると同時に、
潤を自分の腕に抱き寄せた。
「へ、え!え!?」
「ちょっとだけ…。
今だけでいいから…。」
2人の鼓動が互いに伝わって、
それでまた鼓動が速くなる。
じっとしていた潤が、顔を上げた、
かと思うと
「今だけ…なんて言わないで。
これからも、ずーっと…。
俺のことを離さないでよ。
翔くんのことが好き。
翔くんだって、俺が好きでしょ?」
あぁ、もう…。
もうどうやったってきっと、
潤には叶わないんだと思った。
潤のほうが、ほんの少しだけ
背が高いはずなのに、俺の肩のあたりに
顔を埋めてて。
吐息が耳にかかってる。
「好きだ…。
これからもずっと好きだ…。」
