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DAYS

第32章 オールリクエストshort story♡





S side



コイツの気持ちには、気が付いていた。

というか、気付かされたって
感じだった気もするけど。

あんなにあからさまな反応を
されてきたら、そりゃ分かる。



今日だってそうだ。


俺が運転するのをチラっと横目で見ては、
顔を赤くして…。
ニヤニヤしては、クールなフリをしてる。


「帰りたくない」 とか、
「まだ翔くんと一緒にいたい」とか。

潤は平気でそんなことを言う。


そんな潤のことを、初めは
可愛いヤツだと思ってた。

弟のような存在の可愛いさだった。

同級生だし、しっかりしてるけど
だけど時々抜けてるところがある。

そんなところが、可愛くて
目が離せないようなヤツだったんだ。


だけどそれは違うって、気が付いた時、

好きなんだってことにも気が付いた。


潤を見て「可愛い」と感じたのは
弟のようなものじゃない。

「愛おしさ」だった。


俺のものにしたいという、独占欲が
湧いてきたんだ。


もう、そろそろちゃんと言おうと
思っていた。

潤の気持ちに気が付かないフリをするのも、
自分の気持ちを隠すのも辛くて。


それに、自分がウダウダしている間に
他の誰かのものになることだけは
絶対に嫌だ。

まぁ、潤のことだから無いとは思うけど。



だから、雅紀に聞かれた時に、

「これからそうなる予定だけど。」

そう答えた。

覚悟を決めたって意味も込めて。


そうしたらさ…、起きてたんだよ、潤。

聞かれちゃったかぁー…



って思ってるのは、嘘。

俺が雅紀にこの話を振ってくれって
頼んだんだ。

潤が起きてるのは何となく分かったし、
潤が聞いてくれてるほうがいい。



「…続きはちゃんと家で言うから。

俺ん家においで。」


こうやって、家に誘う口実が出来るから。

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