無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

途切れそうな意識を
何とか繋ぎ止めている状況の中で、
翔くんの声が聞こえてくる。


「あ、寝ちゃったの？松潤。」
「うん、そうみたい。
ごめん、もう店閉める時間だよな？」
「んーん、そうでもない。
雅紀はまだ裏だし…って、あ、きた。」
「もー、かず！片付け手伝えよ！」


雅紀って人だろうか。

声だけで、きっと凄く明るい人
なんだなって伝わるような人。


気になるけど…。
少し見てみたいっていう気持ちもある。

俺の知らない、翔くんを。
いつも俺と居る時とは違う、翔くんを。


「片付けくらいしてくれてもさ…。」
「はいはいはいはい。」
「相変わらずだなぁ、お前ら。」
「あ、翔ちゃん。

って、珍しっ！
翔ちゃんが人連れてきてる。」


ニノと同じこと言うもんだから、
思わず噴き出しそうになったのを
唇を噛んでぐっと耐える。



「そんなに珍しい？」
「だって、今まで1人も連れてきたこと
ないじゃん。
彼女も絶対連れてこなかったし。」


『彼女』って言葉に、
胸がずきんと痛くなった。

やっぱり、彼女いたんだよね、普通に。


彼女も連れてこなかったのに、

…俺だけ？


また、バカみたいに期待してる。
傷つくのは目に見えてるのに。


「あ、もしかして。

恋人なの？この人。」


雅紀ってヤツ、何してくれてんだ。

脳天気な感じで聞いてるソイツに
少しカチンときた。


違うに決まってるのは分かってるから、
それをわざわざ翔くんから聞きたくない。


「違うよ。」


ほら、やっぱり思ってた言葉が帰ってきて。

泣きそうになっていたら、


「これからそうなる予定だけど。」