
DAYS
第32章 オールリクエストshort story♡
忙しいってのは分かってる。
だけど…。
さっきのは少し冷たかったよね?
そりゃ、こんな時間にかけた俺だって悪い。
非常識だったと思う。
緊急ならまだしも「寂しい」ってだけで
電話をかけたから。
でも、あんな切り方されたら
余計に寂しくなる。悲しくなる。
「しかも何だよ…行く所って…。」
「仕事」って言ってなかったから、
プライベートであることは明らか。
こんな時間からどこ行くの?
どんなヤツに会いに行くの?
涙が止まらないのが悔しくて、
寝室のベッドに飛び込んだ。
シーツをきゅっと握りしめて、
枕に顔を押し付けた。
冷たい涙は全部、枕へと染み込んでく。
「翔のバカぁーーーー!!」
思いっきり叫んだって、
喉が痛くなって声が枯れてくだけ。
それだけ。
こんなことなら、隠しちゃわないで
さっさと言葉にすればよかった。
変に気を遣わないで、
言ってしまえばよかった。
電話したときに、
「声が聞きたかった」って。
「会いたいよ…。」
声に出せば、もっと寂しくなった。
だけど、誰かにそれを伝えたくて。
ずっと枕に叫んだ。
「会いたいもんは会いたいし、
寂しいもんは寂しいんだよ!
翔のバカ…。」
「誰がバカだって?」
翔の声が、どこからか聞こえた。
ずっと聞きたかった声。
「…俺も疲れてんのか。
昨日ゲームしちゃったからな…。」
早く寝ないと、なんて思ってると
「会いたかったんじゃないの?
何で俺の方見ないの?
怒ってんの?電話のこと。」
「…え!?」
ばっと飛び起きて、
寝室の入口の方を見てみれば
ずっと会いたかった人が
大量の荷物とともにそこにいた。
言いたいことはたくさんある。
たくさんあるけど…
「何、その荷物。」
