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DAYS

第32章 オールリクエストshort story♡






翔の出発は、3日後に迫ってる。

3日前でこれなんだから、
直前なんてもっと気が気じゃない。


時刻はもう2時。

携帯を握りしめて待ってはいたけど、
翔からの連絡は一向に来なくて。


「…もう仕事終わってるんじゃないの?」


いつも、「お疲れ様」「おやすみ」

そんなメールか電話をくれてたのに、
今日は来ない。


時間も遅いし、
明日は朝早くから5人での収録。


明日になれば、会える。

あと何時間で会えるって分かってるけど、
それでも1人の夜は寂しくて。


何度も踏みとどまろうとした。

だけど、やっぱりダメで。


気が付けば、携帯からは呼び出しコール音。

ディスプレイには「櫻井翔」の文字。


やばいな、俺。

気付かないうちに掛けちゃうとか、
もう重症だよ、ほんとに。


こんな時間にかけたって、
迷惑なだけだろうし…。


だけど…、ちょっとだけ。

少しだけ声を聞けるだけでいいんだもん。


何度目かのコールで、

『もしもし?』
「あ、翔?」
『どうしたの?』


思ってたより疲れてる声が聞こえてきて、
ひどい罪悪感に見舞われる。


「今、忙しかった?」
『まぁ、やる事はあるけど…。

どうしたの?』
「いや、あの…。」


まさか、そんなに忙しい人に
「会いたい」なんて言えるはずがない。


なんて言って誤魔化そうかと
口ごもっていたら、


『どうしたの?』


再度返事を促すから、


「ううん、何でもない。ただー…」
『じゃあ、もう切るね。
これから行かなきゃいけない所が
あるから、俺。』


言いたいことも言えぬまま、
電話が切られた音だけが耳に残った。


「ただ…、

声聞きたいだけじゃ、
電話ってしちゃダメなの…?」


自分で言って、自分で傷ついた。

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