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DAYS

第32章 オールリクエストshort story♡






N side


無駄に広く感じる部屋に
ぽつんと1人。

ゲームを持ってはいるけど、
ただ持ってるだけになってかれこれ1時間。



最近、仕事が忙しい。


俺が、じゃなくって、翔が。

俺は通常運転なんだけど、
翔のほうはそんなこと言ってられないくらい
忙しくなってる。



理由は、リオオリンピックのせい。


今年も、翔はオリンピックの
メインキャスターに選ばれた。

もう「オリンピックの顔」なんて
言われちゃってる翔。


それはものすごく嬉しい。
同じグループのメンバーとして、
そして恋人として。


だけど…。
そのための現地取材に行くために、
毎年直前のスケジュールは過密になる。

今年はブラジルなんていう、
日本の真裏に行くんだから尚更だ。


前回だって、翔を困らせた。

「何でしばらく会えないのに、
出発前くらい一緒にいてくれないの?」
って、俺が泣いたんだ。

俺がどうこういって、
翔がどうにか出来る問題じゃないのに…。

喧嘩になりそうになったところで、
メンバーがなだめてくれてた。


それがあったから、
今年は絶対に笑顔で送り出そうと
思ってるんだけど…。


「はぁ…。」


しっかりしろよ、二宮和也。

うまく笑って、元気な姿を見せることなんて
朝飯前だろ?


寂しがるのは、翔がいないところでも
出来るから、

せめて翔の前では笑っていよう。

永遠の別れでも何でもない。


何でもないんだけど…。


「何でリオネジャネイロなんだよ…。」


治安もよくない、そんな国に
笑って送り出せるほど強くない。

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