
DAYS
第32章 オールリクエストshort story♡
「アイツ、相葉のことが好きなんじゃね?」
中学のいつだったっけな…、
そんな噂が流れたことがあった。
俺が雅紀のことを好きだって
自覚したあとのこと。
「だからアイツ、ずっと一緒に
いるんだぜ?」
「うわ、マジかよー。」
俺は悩んだ。
自分の気持ちは間違ってない、
本気なんだと思ってはいるけど、
だけどそれは世間からは認められないって。
俺は「普通」じゃないんだって。
だから、心に鍵をかけた。
どれだけ他人に俺の気持ちを
掻き回されたって、心の奥では
いつだって雅紀を想えるように。
雅紀にも気付かれないように。
雅紀を俺の気持ちで汚さないように。
でも、表面上は普通を装って。
「普通」であることに努力した。
そのために、好きでもない彼女を
カモフラージュで作ったりして。
俺に彼女がいるって知った時の
雅紀の顔が、ずっと頭に残ってる。
ひどく悲しそうな顔をしてたんだ。
なのに、
「そっか…。よかったね。
あの子、可愛いもんね。
…可愛いから…。」
それっきり下を向いたままだった雅紀は、
俺が声をかける前に走っていった。
初めは、もしかしたらその子が
雅紀の好きな人だったのかと思った。
だから付き合って1ヶ月もたたない内に
別れを切り出した。
だけど、雅紀の笑顔はずっと曇ったままで。
それで気が付いた。
もしかしたら…って。
もしかしたら、同じ気持ちなんじゃ
ないかって…。
でも言わない。
仮にそうだとしても。
本気で雅紀のことが好きだ。
だけど…、この恋は間違っているから。
俺なんかのために、
雅紀が間違いを犯す必要なんてない。
そんなのは俺だけでいい。
だから、雅紀の気持ちには
気が付かないフリのまま。
ずっと気が付かないフリを
するはずだったのに。
