テキストサイズ

DAYS

第32章 オールリクエストshort story♡







「…大阪?」


やっと出てきた言葉は
気の利いた言葉なんかじゃなくって、
衝撃的な言葉を繰り返しただけだった。

だけど、それが俺の精一杯だった。


それだけ、今の言葉を理解するのは
俺にとって辛い。

頭のどこかで、分かりたくないって
言ってるみたいで。



「…1ヶ月前くらいには、
もう辞令は出てたんだ。

でも…言えなかった。」


さっきまで泣きそうな顔をしてたのは
俺だったのに、今は和が泣きそうで。

抱きしめられてたのを、
今度は俺が抱きしめ返した。


いつも細く感じるけど、
今日はずっと華奢に感じた。

抱きしめた体は、小さく震えてて。


それが余計に悲しかった。寂しかった。



「ごめんね、ずっと素っ気なくて…。」
「ううん。
…荷造りとか忙しかったんだろ?」
「それもあったけど、でも…。

潤くんと離れるのに、
慣れなきゃって…っ。
もう、こうやってすぐに会ったり
出来なくなっちゃうから…、
それに慣れなきゃって…っ。」
「バカだなぁ…。」


どんな理由かと聞けば、
いかにも和らしい返事で。

こんな時だけど、思わず笑みがこぼれた。


「…本当に行くんだな。」
「うん…。」
「どれくらい?」
「…短くて1年、長くて3年だって。」


和と会えない数日だけでも辛いのに、
そんなに長い間離れるのか…。


「行くなよ」
「会社なんて辞めて、俺のとこにいろよ」
「離れたくない」
「寂しい」


口には出せない言葉だけが、
頭に浮かんでは消える。


ずっと不安だっんだよな、和。

ごめんな、1人で抱え込ませて。


「いつでも会いに行くし、
メールも電話もする。」
「うん…。」
「だからさ、離れるなんて言うなよ…。」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ