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DAYS

第32章 オールリクエストshort story♡






「会いたい時には、すぐ行くから。」
「うん。」
「時間だって、作れるようにするから。」
「うん…っ。

そんなに頑張っちゃ、
潤くん倒れちゃうよ…?」


泣いてるのに、笑ってる和が
俺を優しい瞳で見つめる。


「…ごめんね、勝手に悩んで。」
「和らしいと思ったけどね?」


本当にそう思ったんだよ。
そんなところが可愛いとも思ったんだ。


だけど、そんなに寂しいことなんて
言わせないよ。


「今日から和が大阪に行くまで、
ここで住もっか。」
「え?」
「…ダメ?」
「ううん、嬉しいっ。」


荷物はある程度準備してるだろうし、
それを少しこっちに持ってくればいいだけ。

何より、離れる前くらいは
ずっと一緒にいたいから。


和に、俺の家の鍵を持たせた。
いつか必ず、ここに帰ってきてほしくて。



その日は軽くお酒を飲んで、
2人で一緒にベッドへ入った。


「おやすみ、和。」
「…。」
「和?」
「…て。」
「え?」
「キスして…。」


きゅっと俺の服の袖をつかんで、
真っ赤な顔をしてる。


「キスだけでいいの?」


そんな顔をされたら、
意地悪をしたくなる。


いつもなら、「バカッ」って
拗ねたような顔をするだけど、

今日は、

「抱いて…、いっぱい抱いて…。

ちょっとでも寂しくないように…。」


涙目の和に煽られて、その1週間、
濃密な夜を過ごしたのは


もう3年前の話。



1人の朝にも、1人の飯にも
だいぶ慣れた。

初めは手につかなかった仕事も、
ちゃんとこなしてたよ?

でも、今日だけは…。


定時に仕事を片付けて、
ひたすら家まで走って。

ドキドキしながら玄関を開けるのは、
走ってきたからだけじゃない。


深呼吸をし手、ドアを開ける。

リビングから漏れる灯り。
ご飯のいい匂い。


そして、

「おかえり。」


懐かしい声。


-end-

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