
DAYS
第32章 オールリクエストshort story♡
大ちゃんは、俺の『おかえり』が
異常に好きだ。
だから、帰ってくる前には
必ず電話かメールを入れてくれるんだ。
出迎えて欲しいんだって。
だから、シングルの曲の中で
『おかえり』っていうセリフを言うって
ことになった時、大ちゃんはすこぶる
機嫌が悪かった。
「俺だけの特権だったのに!」だって。
そんな大ちゃんが、俺は好き。
「…遅いなぁ。」
10時過ぎには帰ってくるって言ってたのに、
9時半を回っても連絡がない。
きっと色んなところで掴まって、
なかなか帰れないんだろうなぁ…。
困った顔して、ビールを片手に持って
でもちゃんと受け答えはしてる。
そんな大ちゃんを想像すると、
自然と笑みがこぼれた。
そんなことを考えているうちに、
もう10時前。
料理はとっくに冷めてしまった。
それよりも、連絡がないことのほうが
不安だった。
10時から30分ほど過ぎたころ、
着信のメロディーが流れる。
『大野智』
その文字を確認するとすぐに電話を取って
「もしもし?」
「あ、雅紀。遅れてごめん。
今からすぐに帰るから。」
「うん。気を付けて帰って来てね!」
さっきまでは不安だったのに、
ひとたび大ちゃんの声を聞いただけで
気持ちが軽くなった。
あと30分で会える。
それだけで、心が弾む。
「料理、温めなおそうかな。」
そう思って、リビングからキッチンへと
移動しようとすると、
「え!?」
いきなり真っ暗になる部屋。
