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DAYS

第32章 オールリクエストshort story♡






「和?」


翔が俺の名前を呼ぶ。

嬉しいはずなのに、今の俺には
ただただ怖かった。

次に出てくる言葉で全てが
終わっちゃうんじゃないか、とか。


だけど、違った。


「ごめんな。」


ぎゅっと。

本当に大切なモノを扱うように、
翔は俺を抱きしめた。


「何で…?」

何で翔が謝るの?

声にはならなかったけど、
翔には伝わったらしい。


「俺、薄々気が付いてたんだ。
和が無理して、素直になろうと
してるんじゃないかって。

俺がそうさせてたんだよね?」


ごめんな。本当にごめん。

そう言うと、さっきよりもさらに
力強く俺を抱きしめてくれた。


その温かさに、さらに勢いをます涙。
限界を知らず、いつまでも出てくる。

翔はずっと、袖で涙を拭ってくれた。

「ごめんな」って、
何度も謝りながら。



「翔が悪いんじゃないよ…。

分かってるんだ、頭では。」
「…ん?」
「翔は、俺が素直じゃなくったって、
俺を変わらず大事で居てくれるって…。

結局、俺の気持ちの問題なんだ。
自分に自信がなくて、翔の気持ちも
分からなくなって。

無理するのが辛くなって…。」


頭では理解できる。

だってこんなにも、翔は俺のことを
愛してくれてるんだから。


だけど、心がずっと苦しかった。

素直な俺のことを見て微笑む翔を
見る度に、胸が苦しくなったんだ。



「あのね、和。

素直な和も和だけど、
でも素直じゃない和も和でしょ?

無理して頑張らなくっていいから。
ありのままの和を愛してるからね?

でも、そういう頑張り屋さんな
ところも俺、好きだよ。」


翔の言葉一つで、気持ちが軽くなる。


俺の全部を認めてくれるこの人に、
やっぱり少しづつ素直になりたいと思った。

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