
DAYS
第32章 オールリクエストshort story♡
N side
翔に素直に甘えられるのは、
いつもこういう時だけ。
そんな自分が嫌いだった。
『ツンデレ』なんて言葉は
都合のいい言葉で。
いつもそれが翔を困らせてる。
悲しませてるんだから…。
たまに俺が翔に、素直に何かを
伝えたら、とても喜んでくれる。
心底嬉しそうに。
柔らかい笑顔をしてくれる。
その笑顔が見たくて、
『もうちょっと素直になりたいな』って
思えるんだ。
今日もそのパターン。
上手く回ってない思考回路で、
ただ本能に任せてキスをねだる。
すると、翔の顔が一瞬だけ
ふっと緩むのを見逃さない。
初めはそれで良かった。
素直な俺に、嬉しそうにしてくれる
翔を見て、感じるのは幸せだけだった。
でも、ここ最近はずっと悩んでいる。
翔がいつか、素直じゃない俺を
受け入れてはくれなくなるんじゃないかって。
こんなことをしたって、結局翔は
俺から離れてくんじゃないかって…。
だから、最近はシラフでも
素直になれるようにって、お酒の量を
少しづつ減らしている。
俺がしたくてしてるはずなのに…。
何でこんなに苦しいんだろう。
何でどこか無理してるように思うんだろう。
翔が目を閉じて、俺に近付いてくる。
それはキスの合図。
さっきの俺が望んだこと。
素直になりきってる俺が…。
もう分からなくなってきた。
知らぬ間に涙がどんどん溢れてくる。
止められなかった。
嗚咽が漏れるのを、抑えることも出来ずに
ただ翔のキスを拒んだ。
嫌われるかもしれない。
だけど、辛いんだ。
俺じゃない俺を頑張ることが。
