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DAYS

第32章 オールリクエストshort story♡





S side


バタン、とやたらと大きい音を立てて
閉まった玄関のドア。



「…はぁ。」

俺の口からは、あくびじゃなくて
ため息が漏れた。


眠たさがない訳ではないけど、
眠る気にはなれない。

1人にはベッドは大きいし、
何より智くんがいないんだもん。


寝室に戻る気にはなれなくて、
少し早いけど起きることにした。



「今日も遅いのかな…。」


最近、智くんはよく出かける。

午前中だけの仕事のはずなのに、
帰ってくるのは遅かったり。

やたらと釣りに行く。

「息抜きだから」って
海に行っちゃう智くんを止めようとは
思わないけど…。


「寂しいよ、バカ。」


今日は、オフ。

1人でずっと家に居なきゃいけないんだと
思ったら、オフなんていらないと思った。

こんな気持ちになるくらいなら、
仕事をしてた方がずっとずっといい。



「智くん…。」

ラグの上に座って、膝を抱えて転がる。



『ずっと一緒にいたいから』

そう言って、半ば強引に
同棲を始めたのは俺から。

それから、もう2年がたっている。


まさか…。今になって、
俺と暮らすのが面倒くさいとか
ないよね…?


そういえば最近、オフは家にいないのが
当たり前だし。

少しの暇があれば、すぐにどこかに
行ってしまうし。



「…やめよやめよ。」


すぐに考え込むのが、俺の悪いクセ。

今まで、このクセのせいで
何度も智くんとケンカをしたのは
痛いほど分かっているから。


だけどさ…。

これは、俺が悪いんじゃないよね?

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