
DAYS
第32章 オールリクエストshort story♡
そんな勝手な感傷に浸りながら、
エレベーターに乗り込もうかって時、
「おい!ニノ!」
大野さんの、久しく聞いていないほどの
大きな声が廊下に響いた。
エレベーターの中には何人かの人がいて、
じっと俺を見てくる。
無視を決め込もうとしたんだけど、
「忘れ物、あるんだけど?
おい、ニノ!?」
そんなに叫ばれちゃったら、
無視も出来なくなる。
エレベーターの視線も痛いし。
すみません、って一言いってから
エレベーターを降りて、声のした方へと
小走りに急ぐ。
「あ、いたいた。」
見つけた大野さんは、手ぶら。
全力で俺に手を振ってる。
やられた。騙された。
慌てて引き返そうとしたら、
「あ、こら。帰るな。」
大野さんに勝てる訳がなくて、
すぐに追いつかれて腕を掴まれてしまう。
「…何ですか。」
「何ですかじゃないだろ。
分かってんだろ?俺が言いたいこと。」
分かってるよ。
相葉さんのことでしょ?
「分かってるから尚更聞きたく
ないんです。」
そう言って、掴まれた腕を
振りほどこうとするけどダメ。
「お前、自分のやってることが
本当に正しいと思ってやってるのか?」
大野さんの真っ直ぐな視線が痛い。
そんな眩しい目を見ていられなくて、
「…当たり前です。」
ふいっと横を向いて答えた。
「じゃあ、お前は相葉ちゃんのことを
傷つけたくて仕方ないのか。」
「そんなわけ!
…あ…。」
「お前のやってるのは、そういうことだよ?
なぁ、ニノ。
ニノは頑張ってると思うよ。
だけどさ、頑張り方を
間違えてない?
努力と仕方を間違えてない?
まずは、逃げて忘れるんじゃないだろ?」
