
DAYS
第32章 オールリクエストshort story♡
N side
「あ、待って、ニノ。」
楽屋を出る直前、
相葉さんの声が背中から聞こえてきた。
本当は、
「どうしたんですか?」って言いたい。
振り向いて、相葉さんの方を見たい。
だけど、
「急いでるんで。」
わざと素っ気ない返事をして
マネージャーの車へと急いだ。
無駄に長く感じる局の廊下を、
ただひたすら下を向いて歩く。
相葉さんの悲しそうな顔を
頭の中から振り払うために。
傷つけてるのは分かってる。
怒らせてるのも分かってる。
だけど、どうしてもこの態度を
変えることは出来ない。
俺は、相葉さんが好きだから。
話しかけられるだけで、
顔がぶわっと熱くなって。
触れられると体が燃えるように熱くて。
笑いかけられると心臓が跳ねる。
だけど、こんな気持ちが
許されるわけなくて。
同性。
同じグループのメンバー。
アイドルっていう夢を売る仕事。
俺のこの恋の障害物は
あまりにも大きすぎるから。
諦めるほかない。
そのために、今日までずっと
相葉さんを極力避けてきた。
収録以外では、ずっと突き放してした。
そうすれば、俺のことを
嫌いになってくれるだろうって思った。
なのに…。
「ニノ。大丈夫?」
「何かあったの?」
「怒ってない?俺、何かした?」
どれだけ突き放したって、
ずっと変わらない優しい瞳で
俺を見るから。
分からなくなってしまうんだ。
だけど、それも今日まで。
今日でこの気持ちとも縁を切ろう。
明日からは、また今までの通りの
俺らを演じるから。
今日だけ…。
