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DAYS

第32章 オールリクエストshort story♡






N side


オフィスは戦場だ。


目の回るような忙しさ。

日本語よりも、他の国の言葉が
聞こえてくる。

ここはどこだよ、ホントに。

時々、自分がどこの国にいるのか
分からなくなったりする。


休みはあるけど、残業も同じくらい
ある気がする。
休んだ気がしないんだわ。

…俺のゲームの時間が。


そんな会社だけど、
1度も辞めようと思ったことはない。


何でかって?
そりゃーね。


「ねぇねぇ、ニノ。ニノ。」
「何ですか?」


この戦場には、オアシスがあるから。


俺の隣のデスク。

今日も愛くるしい笑顔を
振り撒いてるコイツ。


相葉雅紀。
俺と同期のコイツは、

俺の好きな人でもある。


「明日ね、櫻井さんと外回りなんだぁ。」
「…へぇ。」


何だよ。
乙女みたいなため息つきながらさ。


「何?櫻井さんのこと好きなの?」
「へ?

違うよ。お昼ご飯がタダで
食べられるんだもん。
そりゃ、嬉しいでしょー?」


ケチなニノなら分かるでしょ?

って、また笑ってる。


ホッと、安堵してる自分がいた。

良かった。
これで櫻井さんが好きだって言われたら、
俺正気じゃなかっただろうから。


たぶん、櫻井さんは
コイツのことが好きだから。


「俺とのお昼じゃ不満?」
「だってお前、すぐに俺に
支払い回そうとするじゃん。」
「仕方ないなぁー。

今日は俺が払いますよ。」
「ほんと?やったー!」


両手を上げて喜んでる。

こんな真っ直ぐなところに惹かれてる。

俺にないものをコイツは持ってるから。

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