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S side


オフィスは戦場だ。


外資系のこの会社は、
毎日多言語が飛び交うオフィス。

バタバタと忙しなく動く
会社員たち。

コピー機も、可哀想なくらい
フル稼働している。


そんなハードな職場だけど、
1度も辞めようと思ったことはない。


何でかって？
そりゃー…


「櫻井さーん。」


コイツがいるから。


こっちに向かって手を振りながら、
笑顔を振り撒いてる。

相葉雅紀。
俺より1つ年下の、可愛い後輩。


そして、俺の好きな人。


「ん？どうした？」
「外回り、明日は櫻井さんと一緒
なんですって。」
「それでそんなに嬉しそうなの？」
「はい。」


爽やかな笑顔でそんなことを言うから、
思わずドキッとしてしまった。


もしかしてって。


だけど、そんな甘い展開に
なるはずがなくて。


「だって、櫻井さんと一緒だと
お昼代が浮きますから。

ニノと一緒だと、奢れって
言われちゃうんだもん。」


じゃあ、頑張りましょうねー！


それだけ言い残して、颯爽と
デスクへと戻っていった。


『ニノ』

この言葉に過剰に反応してしまう。


ニノってのは、二宮和也。

相葉と同期でこの会社に入ってきたヤツ。
デスクも相葉と隣だし。


そして、コイツもたぶん
相葉のことが好きだ。