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DAYS

第32章 オールリクエストshort story♡






「 …お前がいつか離れてくんじゃ
ないかって不安で…。

だから、俺が離れた。

でも、お前は離れていかないから
安心してたんだ。
雅紀は、ずっと一緒にいてくれるって。」


泣かないで、翔ちゃん。

翔ちゃんが泣いてると、
俺まで悲しくなってきちゃうよ…。


翔ちゃんのこぼす本音は、
どれも俺の知らないことばかりで。



「俺、寂しかったよ…。」


翔ちゃんの心の中の秘めた想いにつられ、
俺の本音まで溶け出してくる。


「 翔ちゃんから愛されてる実感が
なくて。

どれだけ好きだって言っても、
何も返してくれなかったから…。」
「それは!!」


翔ちゃんが突然、ボリュームを大きく
したことに驚いたけど、
その瞳は真剣そのものだったから、
俺もじっと瞳を見つめ返す。



「もう…好きとかじゃないんだ。」
「え…。」


耳を疑う言葉。


「嫌だ、言わないで、聞きたくないよ…。」
「雅紀。」
「嫌だ、嫌だぁ…。」

「愛してる。」


耳を塞ごうとしていた両手を
掴まれたせいで、はっきり聞こえてきた。


『愛してる』


今まで、1度も聞いたことのない
最上級の言葉。


「…っ、しょうちぁーん…っ。」


腕を伸ばせば、
ぎゅっと力強く抱きしめられる。


この場所は、いつだってここにあるのに。

腕を伸ばせば、いつだって掴めるのに。


逃げて、怖がって、
何もしなかったのは俺だ。


変わったのは、俺の方だ。

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