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DAYS

第32章 オールリクエストshort story♡







「何で帰り、遅かったの?」


素朴な疑問。

すれ違いは、そこから始まったから。


帰りが遅くなって、
好きって言葉の数が少なくなって、
…体を重ねることも少なくなった。


「それは…。」


何か言いにくそうに、
口をもごもごさせてる翔ちゃん。


「翔ちゃん?」


わざと不安げな声を出してみれば、


「あ、そうじゃなくて、そのー…。」


ふふ。焦ってる焦ってる。


「…お前見てたら、
いつでも欲しくなんだもん。」
「…へ?」
「一緒に風呂入っても、飯食っても、
寝顔見ただけでも、欲しくなんだよ。

だけど、お前またレギュラー増えたし、
ロケも多いから無茶させらんないし…。」


申し訳なさそうに、呟いてる。

責めてる訳じゃないのに、
なぜか肩身が狭そうにしてる翔ちゃんが
おかしくて。


「くふふ…っ。」


思わず笑ってしまったら、


「あ…。」

また翔ちゃんが、
ボロボロと涙をこぼし始めた。


「ちょ、翔ちゃん!?」
「だって…。雅紀が笑ってるの、
久しぶりに見たから…。」


言われてみれば、そうだ。

あれだけ翔ちゃんと2人でいることが
幸せだったのに、負の感情ばかりが
巡って、笑うことが出来なくなってた。


嬉しいよ、俺。

笑ってくれるだけでいいよって
言われてるみたいで。


「ねぇ、翔ちゃん。
お願いがあるの。」
「何なりと。何でも聞きます。」


びしっと改まってる翔ちゃん。


「俺のこと、思いっきり抱いて?
いっぱい愛して?

好きだって、ちゃんと体に教えて?」


俺はずるい。

こうすれば、翔ちゃんが止められないのを
知ってるから。



俺たちは、1度間違えた。

翔ちゃんは、俺のことを想って。
俺は、傷つくのが怖くて。


だけど、これからは。

もう間違えない。

隣を見れば、手を伸ばせば
翔ちゃんはいつだってそばにいてくれるから。



「愛してる…。」
「俺も。」



-end-

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