
DAYS
第32章 オールリクエストshort story♡
やっと見ることが出来た雅紀の顔は、
俺の好きな笑顔ではなかった。
ひどく泣いたあとなのか、
雅紀の目は真っ赤に充血し、
腫れていた。
「何で…。」
「もう、無理だよ…。」
雅紀言ってることが分からない。
なんだよ、別れるって。
なんだよ、無理だって。
「何がダメなのか、ちゃんと言えよ。」
「翔ちゃんが1番分かってるでしょ…。」
そう言って、涙をこぼす。
こんな時でも、雅紀の瞳は
綺麗で、真っ直ぐで、儚くて。
消えてしまいそうな美しさだった。
「 …もう、無理だよ。
待つのはもう、疲れた…。
俺のこと、好きじゃなくなったん
でしょ?
ならもうはっきり言って?
終わらせて?」
そう言って、雅紀は笑った。
泣きながら笑った。
あの頃と同じ笑顔。
一目惚れしたあの時から、
ずっと変わらず俺に向けられる笑顔。
だけど、本当に見たい笑顔は
これじゃなくって…。
いつからか、雅紀の笑顔が
本当の笑顔じゃないことには
気が付いていた。
いつだって、どこか苦しそうに
無理をして笑ってるのは分かってた。
変わったのは、俺の方だ。
「 ね?
もう、こんな思いしたくないの。
翔ちゃん、俺といると
ずっと我慢してるように見えるから…。」
お互いのためなんだよ、って
雅紀が言う。
そんな訳がない。
なら、何でそんなに悲しそうな顔を
してるの?
