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DAYS

第31章 Make your ... O×N








「許してくれる?」


床に倒れたままのニノの体を
ゆっくりと起こしながら聞いてみる。

瞳はずっとニノをとらえたまま。


「…じゃあ、もう1回…。」
「へ?」
「もう1回キスしろ、バカ。」


きゅっと俺のシャツを掴んで、
上目遣いで平気でそんなことを言う。


分かってんのか、分かってないのか。

平気でこんなことをやる。


「早く…。ね?」


あぁ。分かってんのか。

どうすれば俺が煽られるのか、
ニノは分かってんのか。


「1回でいいの?」
「足りるわけないじゃん。」
「じゃあ、もうずーっと
キスする。」
「バカじゃないの?」


ふふって、ニノが笑った。


「あ…。」


そう。その顔。
俺が描きたかった、その顔。

柔らかくて。
とびっきりに恋をしてるって顔。


すぐに筆と絵の具を出して、
筆を走らせた。


「え、智?
おーのさーん?」


ニノの呼ぶ声は聞こえるけど、
夢中になってた。



「できた…。

和也。」
「なに?」


待ちくたびれたニノは、
ちょっぴりご機嫌ななめ。

そんなニノに、出来上がった絵を見せる。


「え…これ。俺?」
「うん。」
「すごい…。」
「俺からの誕生日プレゼント。

ニノ、誕生日おめでとう。」


気が付けば、日付が変わってたことに
さっき気がついた。

それはニノも同じだったようで、

「あ、ほんとだ。」って驚いてる。


「この絵には、ニノが足りなかった。」
「…俺が?」
「どれだけうまく描けても、
そこにニノとの幸せがなくちゃ
むなしいだけで。
うまく色が出せなくて。

だけど、今はこうやってニノが
いるから。」


涙をいっぱいに溜めてる瞳が見る。

嬉し涙だからいっか。


これから、たくさんのニノへの愛を
作っていけるように…。


ニノとだから、描けるものがある。


それは2人の未来。


真っ白なキャンバスは、
少しずつ君で染まってく。



-end-

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