
DAYS
第31章 Make your ... O×N
Another story....
S side
ニノが出ていった屋上。
俺の気持ちのせいか、
さっきよりも風が冷たい気がする。
「あーあ…。」
智くんとニノ両想いで。
次の5人での仕事の時には、
きっと報告があるんだと思う。
「付き合いました」って。
好きな人の幸せは嬉しい。
もちろん、祝福しなきゃいけないって
分かってる。
だけど、心からはまだ難しい。
覚悟はしてるって格好つけたけど、
まだ俺の中では終わってないから。
この恋から抜け出す方法が
分からなくて。
叶わない恋に振り回されてる自分が
ひどく滑稽で。情けなくて。
涙が出るのを堪えきれなかった。
今日だけ、今日だけは…。
次の収録からは、ちゃんとただの
メンバーに戻れるように、
今日まで好きでいさせてほしい。
やっと少しだけ気持ちが落ち着いて、
屋上をあとにする。
荷物、置きっぱなしだし。
そろそろ楽屋も空けなくちゃいけないから。
「やけ酒…、はダメか。」
足が重たい。
智くんが好きだって言い切ったニノの顔。
悔しいけど、今までのどんな表情よりも
綺麗で眩しかった。
やっぱり、俺の入る隙間なんて
ないんだなって痛感させられた。
さらに重くなった気持ちを抱えて、
楽屋のドアを開ければ、
「…相葉くん、まだいたの?」
「翔ちゃん…。」
いかにも泣いてましたって顔してる。
相葉くんのそんなところ、初めてみた。
ずっと、余裕そうに見えてたから。
誰よりもニノの恋を応援している
ように見えてたから。
「…バカだな、相葉くんは。」
「翔ちゃんだって、同じでしょ。」
じっと目が合って、
ふっと相葉くんが笑った。
「飲みに行く?
今日はもうやけ酒だよ。」
「やけ酒って…。
明日、仕事休みなのか…。
俺も休みだし、行くか。」
「うん。」
俺たちは知らない。
小さな恋がもう、少しずつ
動き出していたことに。
-end-
