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DAYS

第21章 愛を込めて花束を S×N






「すご…。」


飛行機がフライトを始めてから
8時間が経ってた。


成田を出てから爆睡してたら、
翔が外を見てみ、って起こしてくれて。


窓を覗けば、

一面綺麗な青。青。青。


空も雲一つなくて、どこまでも
見渡せるように澄んでる。



「綺麗…。」
「うん。こんなとこ、あるんだな。」
「うん…。


って、ここどこなの?」



行き先を知らないまま、飛行機に乗って。

機内アナウンスを聞かないで、
爆睡しちゃったから見当もつかない。


「降りれば分かるよ。」って
どうしても教えてくれない。



飛行機の着陸が、こんなに楽しみなのは

小学生以来だと思う。







「ニューカレドニア…?」


着いた先。

空港のゲートを通れば、歓迎ムードが
マックスで。

場所の特定は容易だった。


「そう。ニューカレドニア。」
「何でまた…。」


何でこんな遠くまで来たんだろ。


オフだし、ゆっくりしたかったな…

なーんて。

まぁ、翔と一緒にいれるならいいか。



「ここからまた移動だから。」
「うん。」


正直、疲れてる。

移動、移動の上に、
まだまだ睡眠が足りてない。


ここ最近、疲れてたのもあって
あんまり寝ることが出来ていなかった上に

昨日、だしね。



だけど、


「荷物、持つよ。」って
俺のカバンをぱっと持って歩いていく
翔が格好いいから。


どんな瞬間の翔だって見ていたくて。

瞬きをするのなんてもったいないくらい。



寝てる暇なんてない。


…車で寝ちゃったけど。
…飛行機で寝ちゃったけど。



空港を出たところには、
もうタクシーが止まってて。

翔が行き先をつげると、
車は動き出す。


「何か…外国って感じだね。」
「色気のない感想だなぁ。」
「こんなとこに色気求めないでよ。」


普段、2人でタクシーに乗る時には
気を遣う。

会話も極力しないし、
あんまり近くにも居られない。


だけど、ここはニューカレドニア。

俺たちを知っているどころか、
日本語さえあまり通じない国。



「手、繋ご。」


差し出した手は、柔らかく包まれる。


やっぱり幸せ。

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