
DAYS
第21章 愛を込めて花束を S×N
「起きて!和!」
朝からもう何回聞いたか分かんない
このフレーズ。
「んー…。着いたの?」
「うん。急いで!飛行機出るから!」
「うーん…。」
「早く!」
仕方ない、って顔して
翔が俺を車から引きずり下ろす。
…ちょっと雑いよ。
でも、眠いから体に上手く
力が入んない。
俺の手を強引に引っ張って、
半ば引きずるように俺を連れていく。
「ちょ、寝るな。」
「うーん…。」
今なら大野さんの気持ちが分かる。
眠たい時なら、どこでも寝れるや。
だって、眠いんだもん。
辛うじて残ってる意識で、
ただぼーっと翔の後ろ姿を見てた。
「格好いい…なぁ、ふふ。」
回らない頭でも、それだけは分かる。
翔は後ろ姿も格好いいってこと。
そんな格好いい人は、
俺のダーリンだってこと。
面倒くさそうな手続きは、
素早く翔が終わらせてくれて。
目立たないように、
一般の人とは別の搭乗口から乗り込む。
ファーストクラスの一番前の窓際。
極力目立たないように。
なんだけど、眠たくって眠たくって。
「ねぇ、しょおー…。」
「ちょ、和っ。」
隣に座ってる翔。
座席の間隔が広いのが寂しくて、
翔に抱きつく。
「和!ここ、飛行機だから!」
「だって、寂しいんだもん…。
…ダメ?」
瞳をうるうるさせて、
首を傾げながら甘い声で聞く。
この顔に翔は弱いから。
「っ!もー…。」
やっぱり顔を赤くしてる翔。
翔は、俺のことをよく
「可愛い」って言うけどさ…
「翔の方が可愛いや…。」
「ん?」
「何でもなぁーい。」
「だーかーら!離れて!」
目立つ事は避けなきゃって分かってるけど
どうしてもブレーキがきかない。
「俺のこと、嫌いなの?」
「好きだよ。愛してる。」
「じゃあー」
「でもダメ。」
そう言って、ぐいっと俺の体を押し返した。
「しょぉー…。」
離れた体は冷たくって。
1人じゃ広すぎるシート。
嫌んなる。
俯いて泣きそうになってたら、
手にパサっと毛布が掛けられて
「これで我慢ね。」って
手をぎゅっと握ってくれた。
