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DAYS

第21章 愛を込めて花束を S×N





N side



「和、起きて! 遅れるから!」


朝、翔がバタバタと寝室に入ってくる
音で、目が覚めた。



昨日、結局翔は何もしてくれなかった。


だけどそれは、俺のことを考えてるって
分かってる。

その選択が、何よりも愛に溢れてたことも。



俺、愛されてるよね。


心ではよーく理解出来た翔の優しさ。


だけど、体は正直で。

あれから、全く眠れなかった。

翔が欲しくて、欲しくて、
体の奥が疼いて仕方なかった。


だから、さっき寝ついたとこだったのに…



「起きて!」
「無理ぃ…眠い。」
「早く!」
「もーちょっと…。

あと1時間くらい…。」
「もー…。」


しびれを切らして、翔が


「ほら、行くよ。」


って、俺の体を布団ごと抱えあげた。


「え?え?」
「そのままでいいや。
ほら、行くよ。」


そう言うと、どこに向かうかと思えば


リビングでも無く、玄関。



「え?どこ行くの?」
「とりあえず急がないと、
飛行機がやばいから。」
「は?飛行機?」
「とにかく行くよ!」


俺を抱えたまま、翔は
車まで全力ダッシュ。


いや、恥ずかしいよ。

もう眠気なんて吹っ飛んだわ。


車に着くと、俺を助手席に押し込んで
自分も乗り込む。


「じゃ、行くから。」
「どこに!?」
「空港。」
「なんで?」
「いいから。ほら、シートベルト。」


和は、シートベルトも出来ないの?


なんて俺を子供扱いして
シートベルトを締めてくれる。


さりげなく話、かわされたよね。


その後は、何を聞いたって
上手く流されて。

挙句の果てには、


「いつまでパジャマなの。

後ろで着替えなよ。」って

助手席から、後部座席に
追いやられた。


ひどくない?


「寝ててもいいよ。
まだ結構かかるし。」
「いい。」
「怒ってるの?」
「怒ってるよ。」
「ごめんごめん。」


ケラケラ笑ってる翔。

悔しいけど、運転姿も格好いいし。


…でも悔しいから、
絶対寝ない。



なんて言っても体は
やーっぱり正直で。


2分後には、夢の中。

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