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密ばち

第2章 授業のはじまり

弥月は窓際に座った。

「やっぱり広いなー…」
外を見ながらボソッと呟き、講義を受ける。

大学からコンタクトに変えたので見晴らしがよい。
心地よい太陽の光を浴びながら、目はうつろになってゆく。

(んー…眠い…)


~~~~~~~~~~~



「ん…、あれ…いつの間に寝てたんだろ」
目をこすりながら周りを確認するが誰もいない。
寝ぼけながら、教科書を持って教室のドアを開いたその時。



ドンッッ!!!!!

「きゃっ!?」

どうやら誰かとぶつかったらしい。
弥月は弾みで背中から床に倒れてしまった。

(いたたた…もう!誰よ!)
寝ぼけ眼でキッと見上げ睨み付けると、


「あ…」

茶髪で綺麗にセットされた髪の毛が見えた。
目に少しかかる程の前髪。
その奥から見える吸い込まれそうな瞳。
耳にピアスもない。ラフな服装の爽やかな男子。


「ん…いって…あ……ごっ!ごめん!!大丈夫?怪我はない!?」
弥月の顔をじっと見つめてきた。

「…あっ、はっはい!!!こちらこそすみません…。」
弥月はあまりのイケメンさに顔を赤らめながらうつむいた。

「よかった!…でも、その格好はちょっと…」

弥月は何のことかと思ったが、その時気づいた。

転んだ衝撃でスキニーが破れ、中身が丸見えだ…

「きゃっ!!!!」
慌てて隠す弥月。


「弱ったなあ……あ!俺のシャツ、腰に巻きなよ」
そういって、弥月の腰に巻き付けた。
破れていたお尻も綺麗に見えなくなった。


「あ…ありがとうございます!!!!この恩は…ぜ、絶対にいつか…」

「いやいや!!こっちがぶつかったんだし!」

「あ…えっと、じゃあこのシャツはいつ返しましょうか…明日はいますか?」


「じゃ、明日の昼休み、また同じ場所で!どう?」

「わかりました!」

続けて弥月は満面の笑みでお礼を言った。

「本当にありがとうございましたっ!」
そういってダッシュで教室を出た。

一人残された男子。
「会う理由ができた…かな」
くすっと笑って彼も教室を後にした。

頬を赤らめながら。

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