テキストサイズ

密ばち

第10章 いつもと違う夜

「ただいま~」



「だから!なんでまた来るの!」



恭介はまた弥月の家にあがりこんだ。
啓二と会ったせいでむしゃくしゃしており、いつものごとく「晩ご飯を食べさせてください」と転がり込んでいた。



仕方なくキッチンで料理をする弥月。

恭介はその背中をリビングから見つめていた。

キャミソールにショートパンツ。ちょうどよく肉のついたスタイル。

(弥月ってこんなスタイルよかったっけ…)






「きゃっ!」

ガチャッ


包丁を落とす音が聞こえた。


「おい、どした!?」

弥月の元へと急いだ恭介は指先をみた。

少し切傷が入っていたのだ。


「い、いつもはしないんだからね!」


弥月が傷を舐めようとしたその時、

「ちょっと待った」




机の上に置いてあった絆創膏を取り、弥月の指先に貼った。


「……ありがと…」


「お前もうそこ座ってていいよ」


「でも…」



「今日は俺がつくるから」


「恭介…ありがと」





あまり料理はしない恭介だが、意外にも手は器用であった。

今日はオムライスを作った。



「おいしそ~!!」


「だろ!俺だってやればでき…」


「いただきまーすっ!」


「……お前…」


「ん!おいし~!」


少しムッとしていたが素直に褒められると嬉しいものである。

弥月は恭介の意外な一面に感心していたのであった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ