
1人じゃなくて。
第8章 No.8
『瑠菜ちゃーん!ちょっとおりてきて―』
下から加奈子さんの声がした。
立ち上がると
風に当たっていたおかげか
体が軽いような気がした。
「どうしました?」
テレビの前でソファーに座っている加奈子さん
私を見て、手招きした。
『ちょっと見てよこれ』
加奈子さんの隣に座り、テレビの方を見ると…
『こういうの着てみたくない?』
白くて、控えめのレースが可愛いワンピースが映っていた。
「わぁ……可愛い」
『でしょう?奈瑠ちゃん、あまりお出かけ用の服持ってないわよね?』
「う……はい……」
図星だった。
この家に来て、一度も出掛けていないため
奈瑠の服装は常に部屋着だった。
『ちょっと今から、私とお出かけしよっか。』
………え?
『娘がいないから……こういうのしてみたかったの!…………あまり、派手な服は奈瑠ちゃんには合ってなさそうね…』
え?……ええ?
加奈子さんと買い物?
いいのかな…
「加奈子さん……」
『………ふふっ、心配しなくてもそんなに連れ回るつもりはないから!少しブラブラするだけよ。』
そっか…
私身構え過ぎだよね
加奈子さんは今の私の希望だから…
一樹さんみたいに、身構える意味がない
「私も…行きたいです」
