
1人じゃなくて。
第8章 No.8
『お、味噌汁じゃん。』
『おはよう一樹。奈瑠ちゃんがね、美味しそうって!』
一樹さんが来た。
あぁ、思い出してしまう。
加奈子さん、こっち向かないでね。
私…今酷い顔してると思うから。
そんな願いはお構いなしに
一樹さんが私に近づいて来た。
───ビクッ──
体は正直だ…
つい怯えてしまう。
『おはよう奈瑠ちゃん。席すわろ?』
何時間過ぎただろうか……
今日は日曜日で
ずっと窓から空を見てる。
この家は角地で
日当たりが良くて
風通しもよい。
───サァ──
「……………。」
一度観たことがあるコマーシャル。
髪の長い女優さんが、白い服を着て
窓に入ってくる風を
気持ちよさそうに感じてる。
今はそんな気分。
私……これで良かったんだよね。
間違ってないかな?お祖母ちゃん……
光さんってどんな人なの…お父さん。
やっぱり、お母さんの料理が好き。
明るい場所には似合わない
悲しい涙を静かに流した。
