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桜並木を見おろして【ARS・O】

第7章 桜月夜

「そーだっ、智さ、ビール買ってきてくんないっ?」

アッコさんが急に叫んだ。

「ビールまだあったんじゃねぇか?」

タケシさんが不思議そうに答える。

「なに言ってんのよ!あんたたち山ほど飲んだから、あと少ししかないよ!」

「アッコがいちばん飲んでたじゃん。」

大野さんが苦笑して口をはさむ。

「私とタケシは、先に帰って布団の用意しとくから。悪いけど小春姉さんも、智に付いていってやってくれない?この辺りもずいぶん変わって、智が迷子になっちゃうから。」

タケシさんは、困ったように眉を下げた。

私も、アッコさんの意図がわかった。

「わかったよ。行ってくるよ。」

何もわかっていないのは、大野さんだけだった。

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