
誰かお願いつかまえて
第9章 女たちの戦い
「…なぜそれを、柚原さんにお話しなければならないのか理解し難いのですが?」
スッと表情を笑顔に戻してきた。
(いちいち頭に来る言い方するやつだな、こいつ。
一応年上らしいから大人しくしてやってんのに。)
「……いいから、話して。話さないなら、このまま波香のことは私が家で預かって仕事にも行かせませんから」
なーんて、嘘だけどね。
「岡崎さん、この人ならやりかねませんから…大人しく従っておきましょう。
……俺はこの前確認されましたよね?」
そう言った川端の瞳は、ナミを迎えに来た日と同じく、強い意思を宿していた。
「…その "この前" の夜、ナミのことを家に返さなかったのは、どこのどなたでしたっけ?」
「はぁ!?川端お前、いつの間にそんなこと!」
よし、鉄壁の仮面もはがれた。
「あなただって同じでしょう、岡崎さん。酔ったナミの家に押しかけて
翌日の迎えの時間とかメールして、髪切らせて、遊園地デートですか。
最近の上司はやけに優しいもんなんですね」
「…遊園地デート?」
川端も彼を疑いの目で見る。
