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誰かお願いつかまえて

第9章 女たちの戦い




――電話でユズに事情をかいつまんで話すと、やっぱり大声で怒鳴られた。


「あんた、今何月だか分かってる!?

12月よ、12月!!クリスマスなの!

クリスマス特集なのよ!?間違っても3月や4月じゃないの!


新生活、卒業、入学シーズンでもないのに、スーツ使って撮影して、記事にすると思ってんの!?

するわけないでしょ!?

だいたい、私がどれだけ忙しいか――――」


全身を揺さぶられるようなユズの大声に、だんだんと冷静さを取り戻した。


『ごめんなさい!でも、どうしても、どうしても必要なの!』


どんなに怒られてもいいし、自分はそれだけの迷惑をかけている。

私にとって最優先は新規のお客様の挨拶に出席すること。


しばらくの沈黙の後、ユズが真面目な口調で話し出した。


「……こう言っちゃなんだけどさ、ナミ。

そこまでされて、行く必要、ある?


もう、今日は休んだら?体調悪いって言って、川端と岡崎さんて人に任せなよ……」


心配、してくれているのかな……?



『ううん。私が行かなきゃダメなの。

3人で対応するのに私だけ行かないわけにいかないし、お客様には私の事情なんて関係ないから』



本当は、ユズの言葉に甘えてしまいたかった。


私だって休んでしまいたい。


でも、ここで今まで頑張ってきたことを、無駄にはしたくない。


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