
誰かお願いつかまえて
第9章 女たちの戦い
(なんで……?
これを入れたのは今週の初めだから3日前……
昨日…いや、今朝は平気だったのに……)
ロッカーの中身はいつも通りに見えた――――あちこちに切れ込みが入ったスーツ以外は。
「幸村さん!?」
近寄ろうとする南ちゃんから、離れた。
ロッカーがベタベタしはじめた日も
スーツを切られた今日も
早めの出勤を始めてからも
私より先にいるのは――――
南ちゃん、だった。
(…慕ってくれてると、思ってたのに………
……そんなに、嫌いだったの?)
好きなふりをするほど?
…でも、今までのことを冷静に考えれば納得がいく。
雑用での嫌がらせは他部署の人だったけど、書類やロッカーの嫌がらせは同じ部署でないとなかなかできない。
それに、私の隣のロッカーを使ってる南ちゃんなら鍵の番号も知っていたかもしれない。
チームの補佐をしているから、私がどの仕事をしているかも何がないと困るかも、手に取るようにわかったはず。
「……幸村さん?」
心配そうな顔なんかしないでよ……!
