
君は少しも悪くない。たぶん
第4章 いま、の後
9時半、マネージャーから向かいにきたことを伝える電話が鳴った。
「はい二宮です。ってなんでアンタなのっ?…松本?いますよ」
ニノがえらく不機嫌に電話を切る。
「どしたの?」
「チーフだった」
「はっ!?」
チーフとは、チーフマネージャーのこと。
若いわりに仕事ができて、幹部候補だと言われている。
めんどくさそう。
地下駐車場で車に乗り込むと、
「おはようございます」
無機質なチーフの声が聞こえた。
「いきなりそういう雰囲気ださないで下さいよ」
「え!?」
ニノとハモった。
「バレバレです。やめて下さいよ、スッパ抜かれたら女よりヤバいですから」
「…はい」
肝に銘じておきます。
湾岸スタジオに着くと、タレント受付でチーフが何か交渉中。どうやら楽屋がえをお願いした模様。
「今日は楽屋2、3で分かれてんで、2人でどうぞ。」
あ、気遣ってくれたんだ。
ちょっと感謝。
楽屋に行くと、元々の部屋割りが書いてあった。
“櫻井翔様、二宮和也様”
うわっ…
これは最悪なヤツだわ。
