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サバイバルヘルパー

第4章 小梅の本気惚け

 ある程度、小降りにはなってきた。


 だが、小降りに感じただけで、実際この状況を都会に持っていけば、あちらではどしゃ降り扱いであろう。


 それだけ、先ほどの降りは強烈なものだった。


「もう少し、ゆるくなりゃあなぁ……これじゃ、まだまだだ」


 何気に後ろを向いた。


 本当に何気だった。


「うわぁっ!!」


 後ろに仰け反るようにして驚いた。


 俊輔が座っている木の、一本後ろの木の陰から、小梅が顔だけ出していた。


「ば、ば、ば、婆さん!! やめろっ、夏場の恐怖映像をリアルライブでやるんじゃねえよ!! おわかりいただけだだろうかって、ナレーション入るわ」


「RePlay?」


「わかってんだろ」


 俊輔は小梅のところに近付いた。


「ずっとそこにいたのか? だめだろ、ウロウロしたら……」


 小梅は俊輔をジッと見つめ、人差し指を立てた。


「由美子さん?」


「由美子じゃねえよっ!! 久美子だよっ!! いや、俊輔だっ!!」


 自分でも、わからなくなってきた。


「とりあえず、雨が止むのを待たなきゃならない。このままだと危ないから」



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