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サバイバルヘルパー

第4章 小梅の本気惚け

 もう、水は鍋一杯に溜まっている。


 波が来て、せっかく溜まった水が無駄にならないように持ち上げて、木の下まで移動させる。


 さすがに、鍋一杯の水は重く、少しばかりこぼれ出るのは致し方ない。


 小さな鍋に溜まった水を、大きい鍋に移し、小さな鍋は再び雨の下に。


 満杯になるまで、それほど時間がかからなかった。


 あっという間に溜まり、これもまた、木の下に持ち込む。 


「ここの木はいいな。屋根と床と壁を作りたいな……」


 頭で想像は出来ている。だが、製造の過程が浮かばない。


「わかってるよ、俺はトムソーヤにはなれねえよっ!! てか、なりたくないし。どっちかと言えばロビンソンなんとかだ」


 街中では変に思われる一人言は、ここでは語り放題。


 とりあえず俊輔は手帳を開き、岩山のてっぺんで書いた地図を調べる。


「ここに家がいくつか見えたんだよ。人いるのかな? ちょっと行ってみるか」


 俊輔は雨が止むのを、ひたすら待った。



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