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サバイバルヘルパー

第4章 小梅の本気惚け

 俊輔は小梅を立たせ、ゆっくりと手を引いて、自分がいる大きな木の下まで、歩かせた。


「足元に気をつけて、ゆっくりね」


 雨は徐々に細くなり、音も、波の音より小さくなってきた。


「婆さん、あんな所に隠れずに見える所にいろよ。それと、船は帰すな。わかった?」


「はぁい」


 大きく頷いて、はっきり返事をする。


 だいたい、これにだまされる。


「食料と、家を作る材料探してくるから。大人しくまっててな」


「今日はね、カステラがね……」


「はいはい、行ってくるからねぇ〜」


 俊輔はバッグを肩にかけて、小雨の中を歩いていった。


「まず、岩からたれていた、水を回収するか。さっきの雨で満タンになってるだろ」


 水が染み込んでかたくなった砂地を、足跡をつけながら歩いていく。


 途中、漂流物をチェックする。使えそうなものがあれば拾い集めるつもりだ。


「っ!!」


 島では、まず見ることのない色が目についた。


 水の色よりも濃い、淡いブルー。


「これ……使えるんじゃねぇ?」


 落ちていたのは、ビニールのブルーシートだった。



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