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サバイバルヘルパー

第4章 小梅の本気惚け

「このボケが、ゴルァーーっ!!」


 掛け声が先に届くくらいの勢いで、力一杯ぶん投げた。


 顔を真っ赤にし、ハァハァと肩で息を切らす。


「怒ってもしょうがねぇ……しょうがねぇんだよ……くそ!!」


 俊輔は海の中に入った。ほとんどヤケクソだ。


 暑いとまた腹が立つ。海の中だと、心地好い。


「はぁ〜……このまま流れて日本に帰してくれ〜」


 なんでもかんでも、ヤケクソだ。


 なにもする気がしない。


 浅瀬でしばらくプカプカと揺られていると……。


 先ほどまで照り続けていた太陽の威力が、なくなってきた。


「ん?」


 ねずみ色の雲が増え、青空を包んでいく。


「……あ」


 俊輔は海から出ると、元の浜辺まで走った。


 ジーンズが重くなるのも無視し、とにかく走った。


 顔や手に、なにかがあたる。


 はじくようにポッ、ポッと当たる。


「鍋を用意しろぉーっ!! ペットぶぉとぉるーーっ!!」


 雨だ。カラカラに灼熱の地だった無人島に雨が降ってきた。


 すなわち、確かな水の確保だ。




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