テキストサイズ

サバイバルヘルパー

第4章 小梅の本気惚け

 頭の中で、船を見付けた瞬間の映像がぐるぐると流れる。


 遠回りでも、廃屋を通って行けば、間違いなく間に合っていた。


 船を逃がしたのは、自分にも責任がある。


「はああぁぁーー……」


 大きくため息をついて、また項垂れる。


 しばらくして、立ち上がると、バッグを置いている木陰に向かった。


 バッグから500ミリリットルのペットボトルを出すと、まず蓋を開けた。


 ポケットから手帳を出し、岩山の山頂で描いた地図を、違うページに模写した。


 その下に……。


[この形の島に、おばあさんと二人でいます。助けてください。相羽俊輔]


 そう書くと、そのページのみをちぎり、折り畳んでペットボトルの中に入れた。


「これをどこかで流そう」


 すなわち、SOSのメッセージだ。


 俊輔は、ペットボトルを持って、バッグを見付けた浜辺に向かった。


 ペットボトルの中に、一握りほどの砂を入れた。


 遠くに飛ばすための重りだ。


 浜に流れ着いたゴミの中から、紐を見付け、ペットボトルにくくりつけた。


 振り回せば、遠くに飛ばせそうな気がした。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ