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サバイバルヘルパー

第4章 小梅の本気惚け

 小梅は、おもいっきり笑顔で言った。


「だって、私達は、ここに住んでいるんですよ。久美子さんも、自分の家から離れるのは嫌でしょ〜」


 なんてこった……。


 完全に裏側の小梅が、表側を覆いつくしている。


 肩を震わせながら、俊輔は小梅に詰め寄る。


「離れてる状態が嫌だから、ここから出たいんだろっ!! せっかく来た船を、なんで追い返すんだよ!! 現状を把握しろよバカ野郎!!」


 帰れるチャンスを台無しにした小梅に、腹から力を込めて怒鳴りたおす。


 小梅は豹変した俊輔に驚き、目を大きく見開いた。


「……クソッ!!」


 近くにあった20センチほどの流木を腹いせに蹴飛ばして、怒りをぶつける。


 わかっている。今の状態の小梅を責めてもしょうがないことは、充分にわかっている。


 だが、怒りの矛先は小梅にしかむかなかった。


 何度も睨み付け、役に立たないババァだと、心の中で何度もののしった。


 それを、口にだして小梅には言わない。


 グッと我慢した。


 正気に戻った時、小梅も辛いんだ。


 それを誰が守る。




 自分しかいないじゃないか。




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