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サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 だが、浜に戻れるほどの明るさではない。


 足元が見えにくいため、危険である。


「なんだろ、まだ外にいた方が安心するなぁ……」


 俊輔は厨房を覗きこむ。


 なにか、ないものか?


 よく、旅館やホテルには、壁や柱に非常用の懐中電灯がかけてあったりする。


 だが、こんな廃墟となった旅館にそれが残っていることは、期待できない。


 ならば、火をおこすことができないか?


 俊輔は厨房に入った。


「火をおこすなら、あの方法しか思い付かない」


 俊輔は厨房の台の下に、薪があるのを思い出した。


 そして、引き出しを探ってみる。


「あれが、あったはず……代用できないかな?」


 手に当たる細長い物を、見付けた。


 菜箸。細長い棒のようなお箸だ。


 菜箸と薪を手に、外に出る。


「この辺りに、松の木があったはず」


 手を伸ばし、葉っぱが刺ささってくれば、それが松だ。


 以前、見ていたので、それはすぐに見付かった。


 松の木を触ると、ネチャッと手につくものが……。


「あった!」



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