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サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

「むちゃくちゃ怖いよぉ……とにかく、明かりになるものがほしいよなぁ。この前は、まだ電気がついたからマシだったんだけど、なんか明かりになるものないかなぁ……」


 俊輔は手探りで、旅館の中を移動した。


 昼間に来ても、外からの光が届いていなかった。


 夜だったら、こうなるだろうとは思ってはいた。


「この暗さ、想像以上じゃねえか……あぁぁ、怖いなぁ……」


 とりあえず、俊輔は部屋に行きたかった。


 まず、個室の中にいた方が、安心すると思った。


「たしか、左側が浴場なんだよ。そのひとつ向こうが、犬と戦った部屋。てことは、もっとむこうまで行かなきゃならんのか……」


 腰を低くして、泳ぐように暗闇を進む。


 ドアのようなものが手にふれた。


「な、なんだ……部屋か?」


 ドアノブのようなものが、手に当たる。


「おっしゃっ!! これは部屋だぞ……まだ入ったことない部屋だよな?」


 ドアノブを回し、扉を開ける。


 開けたとたん、冷たい空気が顔に流れた。


 同時に土臭い匂いが、鼻につく。



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