テキストサイズ

サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 来た時はまだ、空は暗くなかった。


 今は、あっという間に漆黒の闇。


 空には月が出ているが、その明かりは届いていない。


「マジかよ……電気つくと思って安心して来たのによ……てか、帰れねえよ」


 辺りを見回しても、ぼんやりとシルエットが浮かぶ程度。俊輔の目には、なんにも入ってこない。


「え、これじゃ帰れないよ。ロウソク持って来てないしよ……ここでまた、野犬が襲ってきたらどうしよう……」


 不安が募る。


 ジッと、その場で佇む。


 耳をすましてみる。


 物音がすれば、それがたとえネズミでも、かなり危険と判断してもいい。


「困ったなぁ……こんなの怖すぎるだろ。てか、なんで電気がつかない? いや、あんとき、なんでついた?」


 急に電球や蛍光灯が、すべて切れたとは思えない。


 なにか原因があるはず。


 だが、それを調べる術がなにもない。


「明かりがないからねっ!! なにやってんだ俺は……」


 外に出るわけにもいかない。そうなれば、中で待機するしかない。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ