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サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 必要最低限の設備として、トイレは考えてみる必要はあるだろう。


 それ以前に自分の技量でどこまで出来るか……。


 この島に来てから、やったことのない未知体験は、どんどんやってきた。


 飲み水、食料の確保、イノブタの狩猟、解体、調理。


 だが、これらも、昔、人が住んでいた島であったからできたこと。


 使える物が残されていたから、ここまで出来た。


「この島に流されたことは、まだ運がよかったと考えるべきだな……運がよかったついでに、またやってみよっかなぁ」


 日は、まだ完全には沈んではいない。


 俊輔は体のいたるところを、さすってみる。


 肌がざらざらとしている。汗が乾燥して結晶化したか、細かい砂がついたのか……。


 また、温泉に入りたい。


 俊輔は、温泉宿に向かった。


 前回は、入浴したあとに、野犬に襲われた。


「もう、出てこないだろ」 


 温泉宿に着くと、また裏の厨房まで行き、電気のスイッチを入れた。


 だが、つかない。


「あれ? この前、電気ついたじゃん」


 すべての電気のスイッチを入れてみたが、明かりひとつつかない。


「なんで? すんごい、怖いんだけど」

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