テキストサイズ

サバイバルヘルパー

第9章 いかだ

 俊輔にとっては、ご馳走だった。


 煮詰めて煮詰めて煮詰めまくった濃厚なスープ。ホロッとほぐれる肉。


「炭水化物ほしいなぁ……」


 早く帰って、腹一杯、白いご飯とラーメンが食べたい。


 それには、なんとかしてでもこの島を出なければならない。


 学生のころ、美術、図画工作や、技術家庭科の成績は鼻で笑えるほど、最悪だった。


 そんな自分にいかだなんて、作れるのだろうか?


 それが心配だった。


「いや、やるっきゃないよ。だから、釘やらロープやらを見付けて、材料あつめたんだから」


 頭の中で構造を練る。


「まず、竹を組んで、浮力を強めないと……その上に丸太を並べて……しっかり固定させて……板をのせようか……周りに……」


 頭に浮かべるのは簡単だ。


 それを作るのが、難しい。


「水もいるし、食料もいるし……」


「トイレ」


「はっ?」


「トイレ」


 小梅は婆さんだけど、一応は女性だ。


 たしかに、男みたいに立ってやるわけにはいかない。


「どれだけ海にいるかわかんないもんなぁ……トイレかぁ……ややこしいなぁ」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ